
「NHKすくすく子育て」ドクター加部一彦先生(愛育病院新生児科部長)
“おさらがわらった”の絵本はホントにシンプルですね。でも、赤ちゃんたちの好奇心いっぱいの目には、わらい顔の白くてまぁるいお皿と、あざやかな食べものたちとの組み合せは、おとな達が想像する以上に、沢山の「わくわく」や「どきどき」を引き起こしてくれるのではないでしょうか。
これまで仕事柄、多くの絵本と出会ってきましたが、この“おさらがわらった”は、本当に赤ちゃんのために作られた数少ない絵本のひとつだと思います。ことばが書かれていないということは、読んでくれる大好きなひとたちによって、おはなしが変わる工夫があるということ。赤ちゃんには、好奇心を満たしてくれる大きな刺激になることでしょう。赤ちゃんにとっての絵本の素晴らしさとは、何にもましてコミュニケーションの大切さ、素晴らしさにあるのですから・・。
生まれてからの最初の一年間、赤ちゃんの発育は毎日毎日、毎月毎月、本当に一日として留まることを知らないかの様です。赤ちゃんは、毎日、この絵本を通して自分なりの発見をして行く事でしょう。また、それをじっと見つめる事で、お母さんやお父さんにも新しい発見が沢山、待っている事と思いますよ。
大きさと言い、質感と言い、はたまた、「食べやすさ」にまで配慮が行き届いたデザインと言い、この白いお皿には沢山の工夫が詰まっています。その工夫の一つ一つが、みんな“おさら”という道具に初めて出会う赤ちゃんたちが、戸惑ったり、無理したりしないようにと考え抜かれて作られました。この白いお皿には、いったい、どんな食べものが盛られるのでしょうか。どんな色かなぁ、どんなにおいかなぁ、どんな味なんだろう....考えただけで自然と笑顔になっちゃいますよね。きっと赤ちゃん達もおんなじ気持ちだと思います。
生まれたその時からずっと、赤ちゃんは母乳やミルクで育ってきました。そして約半年。次のステップとして離乳食が始まります。食事は人間にとって欠かす事のできない事であると同時に、大きな「楽しみ」でもあります。これから「食べる」事を始める赤ちゃん達には、単に「食べる」ことだけでなく、そんな食事の「楽しみ」も一緒に伝えてあげたいですよね。最近は、生後の早い時期からアレルギ-症状のために、様々な食べものの制約を、受けざるを得ない赤ちゃんも少なくありません。食べられるものは限られてしまっても、いや、限られてしまっているからこそ、「食べる」事を苦痛にしない、そんな工夫をしてあげたいものですね。あまり難しく考えないで、やってみませんか。いつもわらって見守ってくれている、この“おさら”のように!